軒下から雨を眺める。

ため息を言葉に。

孤独は寂しいが不幸ではない

 私は一人が好きだ。

 一人で本を読むのが好きだし、一人で映画館に行くのも好きだ。人でラーメン屋に入るのも好きだ。

 一人はいい。自分の時間を自分のペースで使うことができる。行きたい場所があれば自分の都合だけで、誰かのスケジュールを気にすることなく出かけることができる。突然予定を変更して途中下車しても文句を言う人はいない。ベンチに座りなにもせずぼーっとした時間を過ごすことも可能だ。

 一人でいるのが好きだ。一人の時間が好きだ。一番落ち着くのは自分の家だが、時折家に家族がいることすら煩わしい。一人の時間がないと生きていけない。

 

「一人でいることは寂しい」という価値観が、私にはどうしても受け入れがたかった。

 一人が好きというだけで、社会から逸脱した不適合者のレッテルを貼られるのが悔しくて仕方がなかった。なにより、「一人でいるのがかわいそう」と勝手に憐れまれるのがひどく腹立たしかった。

 しかし学生時代、クラスメイトを見ても、誰もが異様なまで一人でいることを恐れているようだった。三者面談でも「友達は作ったほうがいい」「いまはよくても社会に出たら困る」などやんわりと注意を受けた。

 なぜそこまで集団でいることに重きを置くのか。一人のなにがそんなに駄目なのか、私には理解できなかった。

 私には友達がいない。恋人もいない。ほしい、作ろうかと思ったこともないといえば嘘になる。だが熱意がさっぱり続かないのだ。なんとなく寂しい、友達が欲しいと思っても一時間もすれば忘れている。次にそう思うのは三ヶ月くらい後だ。そして一時間後に忘れる。

 友達が欲しい、恋人が欲しいというより、「友達が欲しい」という感覚が欲しかった時期があった。だって、欲しくないだけで、周りから変な目で見られるのだ。

 友達がいて当たり前。そういった概念がうっとおしくて仕方がなかった。

 

 一人でいて寂しくないのか、と思う人へ。

 正直言って、一人は時々寂しい。私と同じ時間を共有して、気負わずどうでもいいことを話し、共感してくれる誰かがいれば、と思う瞬間がある。

 一人でいて楽しいのか、と思う人へ。

 正直言って、一人はすんごく楽しい。読書も、映画鑑賞も、園芸も、美術館巡りも、散歩も、小旅行も、食事も、一人でやって楽しくないことなんて一つもない。勿論、誰かと一緒でも楽しいと思う。しかしなぜ、一人だと楽しくないのか、私にはまったく理解できない。こんなに楽しいのに。

 一人は楽しい。時々寂しくなるけど、そう断言できる。